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キリスト教 執事の話

キリスト教の深イイ話 〜Tell them〜

「Tell them」というタイトルのとても感動するストーリーに出会ったので、ご紹介します。
All My Devotion Belongs to This Man
タイトルの翻訳が一番困りましたが、
神からの言葉として、「伝えよ」にしました。

「伝えよ」

14年ほど前の話だ。
私は立って、神学の開講授業に列をなして入っていく大学の生徒たちを眺めていた。
その日は、私が初めてトミーに会った日だった。彼は肩の下6インチにもなる髪を結んでいた。
私の彼に対する最初の印象はとても「奇妙」だった。
そう、とてもね。
トミーは結局、私の最大の試練となった。
彼は常に、無条件に神を愛することについて反抗的だったし、嘲笑っていた。彼は履修コースの最後の試験のとき、少し否定的な調子で尋ねてきた。
「僕がいつか神を見いだすことがあると思う?」
「いや」
私はきっぱり答えた。
彼は
「へぇ、押し付けてくるかと思ったよ。」
私は彼をドアから5歩行かせ、そして叫んだ。
「君が神を見いだすとは思わないさ、だが、きっと神が君のことを見いだすさ」
トミーはまごついて、そして出て行った。私は彼にうまく伝えられなくて少し残念だった。
その後、トミーが卒業したと聞いた。私はそのことを純粋に喜んだ。そして悲しい知らせが…トミーは末期がんだった。私が彼を探し出す前に、彼が私の元へ来た。
彼が私のオフィスに入ってきたとき、彼の体はひどく狼狽していて、彼の長髪は化学療法のゆえ抜け落ちていた。
しかし、彼の眼は輝いていて、その声は、確かなものだった。
「トミー!お前のことばかり考えていたよ。病がひどいと聞いたんだ。」
私はうっかりしゃべってしまった。
「うん。とてもひどいんだ。癌でね。もう数週間しかもたないらしい。」
「詳しく話してくれるかい?」
「勿論、何が知りたい?」
「たった24歳で、もう死ぬんだって?」
「それくらい、まだ良いほうだよ」
彼は続けた。
「50歳になって、アルコール漬けで女を誘惑して金を稼ぐことが人生で本当に重要なことだと考えているなんかよりはね。」
そして、彼は何故やってきたのか話してくれた。
「先生が僕に授業の最後の日に言ったよね。僕がいつか神を見いだせると思うかって聞いたら、先生は、『No』と答えた。僕はそれにとても驚いたんだ。
そして『いつか神が君を見いだす』ってね。あれから何度も考えた。あの時は、神に対しての研究なんてする気もなかったのに。
でも、医者が僕の足の付け根から腫瘍を取り除いたとき、とても悪性だって言ったんだ。真剣に神を探したよ。
そして、悪性腫瘍が他の臓器に広がっていったとき、僕は本当に天国への青銅の門をたたき始めたんだ。
僕は、神のこととか、あの世のこととか、そんなことはもう気にしないって決めたんだ。残された時間をもっと重要なことに使おうと決めたんだ。
先生のことや先生が教えてくれたことを考えたよ。
『一番悲しいことは、愛さないことだ。
でも自分が愛している人達に、愛していることを伝えずにこの世を去るのは、ほとんど同じくらい悲しいことだ』ってね。
それで、一番難しいことから始めたんだ。お父さんに。」
トミーの父は彼が近づいてきたとき新聞を読んでいた。
「お父さん、話したいことがあるんだ。」
「どうぞ」
「いや、本当に重要な事なんだ。」
新聞がゆっくりと3インチさがり
「一体何だ?」
「お父さん、愛しているよ。ただ、それを知って欲しかったんだ。」
トミーはその瞬間を物語るように私に微笑んだ。
「新聞が床に散らばってね、そしてお父さんは今まで一度もしなかったことを二つしたんだ。
大泣きしてね、そして僕を抱きしめたんだ。
そして、僕らは一晩中話したよ。お父さんは翌朝には仕事に行かないといけないにも関わらずね。」
「お母さんと弟はもっと簡単だったよ。」トミーは続けた。
「彼らは僕と一緒に泣いてね、互いに抱きしめたよ。そして今まで長い間、秘密にしていたことも話した。
今、死の淵にたって、やっとずっと近くにいた人に心を開き始めたんだ。
そして、ある日、振り返るとそこに神がいたんだ。僕が願った時には僕のもとに来てくれなかったのに。やっぱり神は神の時間に神の方法でものごとを行うんだ。
大事なことは、先生は正しかったということ。僕が神を探すのをやめたっていうのに、神が僕を見いだしたんだ。」
「トミー」私は加えた。「一つ頼んでいいかな?僕の神学の授業に来て、生徒たちに、今の話を伝えてくれないかな。」
私たちは、日を決めたけど、その日が来ることはなかった。
勿論、彼の命は、彼の死によって本当に終わったわけではない、ただ、変化しただけだ。
彼は信仰から幻へと大きな一歩を踏み出したのだ。彼は命が人の目で見るよりも、その心で想像するよりももっと美しいものだとわかったのだ。
彼が死ぬ前に、私たちは最後に一度話した。彼は言った。
「先生の授業にいけそうにないや」
「わかってる。トミー」
「僕の代わりに伝えてくれる?僕の代わりに全世界に…」
「伝えるよ。トミー。私が…伝えるよ。」
−作者不明−
翻訳:Keiji

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